今までは税金と言えば現金の支払いが一般的でしたが、現在ではクレジットカードを使って各種税金が支払われる取り組みが進みつつあります。
一方で、法人の各種税金がクレジットカードでも支払えるのか、国税や地方税のキャッシュレス事情が気になる方もいるでしょう。
この記事では、法人の各種税金について解説した上で、クレジットカードによるキャッシュレス払のメリットをご紹介します。
クレジットカードで支払える法人税金とは?
平成29年1月4日に施行された税制改正により、現在ではクレジットカードを使って多くの税金を納付することが可能になっています。
国税を始めとして各種地方税など、地方ごとにキャッシュレス決済の取り組みが始まっています。
クレジットカードで支払える法人税金について、国税・地方税ごとにチェックしていきましょう。
カード払いのできる国税
国税庁指定の「国税クレジットカードお支払サイト」を利用すれば、国税をクレジットカードで納付することが出来ます。
カード払いの対象となっている国税は以下のとおりです。
代表的なものとしては、消費税や法人税、相続税などがあります。
その他、詳しい税金の種類については下記をご確認ください。
・申告所得税及復興特別所得税
・消費税及地方消費税
・法人税
・法人税(連結納税)
・地方法人税
・地方法人税(連結納税)
・相続税
・贈与税
・源泉所得税及復興特別所得税(告知分)
・源泉所得税(告知分)
・申告所得税
・復興特別法人税
・復興特別法人税(連結納税)
・消費税
・酒税
・たばこ税
・たばこ税及たばこ特別税
・石油税
・石油石炭税
・電源開発促進税
・揮発油税及地方道路税
・揮発油税及地方揮発油税
・石油ガス税
・航空機燃料税
・登録免許税(告知分)
・自動車重量税(告知分)
・印紙税
・国際観光旅客税
・国際観光旅客税(告知分)
引用元:国税クレジットカードお支払サイト
政府主導のキャッシュレス化が推進されており、現状ではほとんどの国税をクレジットカードで支払えるようです。
カード払いのできる地方税(都税)
地方税には住民税や事業税などさまざまなものがあります。
カード払いが出来るかどうかの具体的な範囲は地方によって異なります。
例として、東京都内でカード払いのできる地方税をチェックしてみましょう。
自動車税や固定資産税(23区内のみ)などの支払いができます。
・自動車税種別割
・固定資産税・都市計画税(23区内のみ)
・固定資産税(償却資産)(23区内のみ)
・不動産取得税
・個人事業税
・鉱区税
・自動車税
・法人都民税
・法人事業税
・特別法人事業税(※)
・事業所税
・宿泊税 軽油引取税
・ゴルフ場利用税
・都たばこ税
・自動車税環境性能割
・自動車取得税
・地方法人特別税(※)
※特別法人事業税および地方法人特別税は国税ですが、各都道府県が法人事業税とあわせて賦課徴収しています。
引用元:都税クレジットカードお支払サイト
再度となりますが、クレジットカードで地方税を支払う場合は、各都道府県により対応している内容が異なっている点は注意しましょう。
狩猟税や入湯税といった地方税も存在しますが、カード払いのできる都税は2020年4月時点で上記の範囲内に収まっています。
クレジットカードで税金を納付するメリット
クレジットカードで税金を納税すると、キャッシュ払いとは違ったメリットを受けられます。
カード払いで税金を支払うメリットは以下のとおりです。
・カードのポイントを貯められる
・好きなタイミングで納税できる
・支払いが厳しければ分割・リボも可能
・利用明細書で支払い管理を一元化できる
1,カードのポイントを貯められる
カード払いをする最も大きなメリットの1つがカードのポイントを貯められる点です。
クレジットカードで支払うことで、現金払いでは得られなかったポイントを得ることができます。
カード会社によってはポイントをキャッシュバックしたり、オトクな商品と交換できたりするため、税金を実質割引で支払う恩恵を得られるといえるでしょう。
2,好きなタイミングで納税できる
カード払いによる納税は、サイトのメンテナンスを除いて24時間いつでも納税することができます。
役所窓口やコンビニなどに足を運ぶ時間的な余裕がない場合でも、パソコンとカード1枚があれば納税することが可能です。
納税書が手元にあれば、支払いをはじめてから数分で納税を完了することもできます。
3,支払いが厳しければ分割・リボも可能
カード払いを使うことで、カード会社や利用可能枠に応じて分割払いやリボ払いといったサービスを活用することができます。
「大きな法人税を支払う余裕が今手元にない!」という場合は、分割払いを使うことで負担を軽減することも可能です。
なお、「カード払いで支払った日が納付日」となります。
カードの請求を分割払いやリボ払いにしても、カード払いを行った時点で税金の納付は完了しています。
「納付期日に遅れてしまうのでは…?」という心配も必要ありません。
3,利用明細書で支払い管理を一元化できる
カードの利用分は利用明細書としてカード会社より引き落とし請求書が送付されます。
利用明細書には何に対する支払いか記載されていることも多く、各税金で支払った範囲をひと目でチェックすることが可能です。
「何の税金に対して、いつ納付したのか」という点を簡単にチェックできるため、支出の見直しなどにも役立てることができます。
クレジットカードで税金を納付するデメリット
クレジットカードで税金を納付するのにはメリットばかりがあるようにも思えますが、一方でデメリットも存在します。
カード払いで税金を納付する場合のデメリットは以下の通りです。
・カード払いの手数料が掛かる
・カード払いに対応していない可能性がある
・証明書の発行に時間が掛かる
・役所窓口やコンビニでは原則カード払いができない
1,カード払いの手数料が掛かる
カード払いを利用すると、決済手数料が必要になってしまいます。
たとえば国税をクレジットカードで支払った場合に掛かる決済手数料は以下のとおりです。
納付税額 | 決済手数料(税別) |
1円~10,000円 | 76円 |
10,001円~20,000円 | 152円 |
20,001円~30,000円 | 228円 |
30,001円~40,000円 | 304円 |
40,001円~50,000円 | 380円 |
※以降、10,000円を超えるごとに決済手数料76円(税抜)が加算されます。
とはいえ、ポイント還元率に優れたクレジットカードを使えば、決済手数料を超えてオトクな支払いができるのも事実です。
たとえばポイント還元率1.0%の楽天カードを使って8,400円の納税をした場合、84ポイントが帰ってきます。
1円~10,000円の決済手数料は83円(税込)ですので、現金払いよりも1円分がオトクになる計算です。
一度に納付する額が高額になるほど、カードのポイントで決済手数料をカバーできる点は抑えておきましょう。
2,カード払いに対応していない可能性がある
国税であればカード払いを使って納付することもできますが、地方税のキャッシュレス決済に対応していない地域があるのも事実です。
そのため、お住まいの地方税をカード払いで支払おうとしても対応していない可能性があります。
地方税をカード払いで支払おうとする場合は、事前に対応しているか地域の自治体ごとにチェックが必要です。
3,証明書の発行に時間が掛かる
事務所を通して納税証明書を発行してもらうことはできますが、都税の場合は支払いから納税証明書の発行まで約10日ほど時間が掛かってしまうようです。
たとえば車検が近く、「自動車税納税証明書がすぐに必要」というケースでは間に合わない可能性も考えられます。
証明書の迅速な発行が必要であれば、現金払いをする必要があるといえるでしょう。
4,役所窓口やコンビニでは原則カード払いができない
カード払いは原則としてWebを通したオンライン上のみとなります。
カード払いに対応した法人税であっても、コンビニエンスストアでカード払いをすることはできません。
また、各種金融機関であってもカード払いで納税することは出来ませんので注意しておきましょう。
クレジットカードで各種税金を支払うにはどうすべき?
クレジットカードで税金を支払う場合は原則対応したWebサイトでオンライン上の手続きが必要となります。
各種税金を取り扱っている中でも、ポピュラーなサイトは以下の通りです。
・国税クレジットカードお支払いサイト
・Yahoo!公金支払い
・F-REGI(エフレジ)
・e-Tax
まとめ
国税をはじめとして、多くの法人税金はクレジットカードで支払うことが可能です。
カード払いで高額な税金を支払えばポイント分が多く帰ってくるなど、カード払いにおけるメリットを受けることもできます。
しかし、地方税は各自治体によって対応範囲が異なる点は注意しましょう。
地方税をキャッシュレスで支払う場合は「自治体がカード払いに対応しているか」・「自身の自治体に対応した納税サイトがあるか」の2点をチェックすることをおすすめします。