
事業を行う中で、日々の取引記録や帳簿の作成、確定申告の準備などの経理業務は煩雑で負荷の大きい作業です。
思い切って税理士に外注してしまうべきでしょうか。
それともクラウド会計ソフトを利用して自社で行うべきでしょうか。
今回は、そんな疑問を解決するために、税理士とクラウド会計のメリット・デメリットを整理し、どちらを選ぶべきなのか解説していきます。
クラウド会計ソフトについては、主に大手クラウド会計ソフトの「freee」や「マネーフォワード」の機能を参考にしています。
税理士に依頼する場合のメリット・デメリット

税理士に依頼するメリット
経理を顧問税理士に依頼する場合のメリットは、やはり正確性です。
基本的に経理作業はすべてプロに任せることができ、不明点がある場合は相談できます。
社内に経理知識のある人がいない場合でも、煩雑な記帳作業を外注することで本業に集中できる効果が得られます。
特に、確定申告の時期に時間を取られることなく業務ができれば、大幅な負荷削減につながるでしょう。
また、顧問税理士と契約していれば、万が一税務署への対応が必要になった場合にも立ち会ってもらえるので心強いです。
経理や税務に関して調査が入っても、「顧問税理士に任せています」と答えられる安心感があります。
税理士に依頼するデメリット
一方、顧問税理士をつける場合のデメリットは、やはりコストがかかることでしょう。
クラウド会計が月に数千円から利用できるのに対し、税理士と契約する場合は、小規模の法人でも、月に1万円以上必要になると見積もっておく必要があります。
ただし、クラウド会計にもさまざまな料金プランがあるため、一概に安く済むとは限りません。
「freee」の場合、最も高度な機能がつく「プロフェッショナル」プランだと、月に4万円程度の料金がかかります。
また、数多ある税理士事務所の中から自社に合う一つを選び、契約を結ぶのにも手間がかかります。
気軽に導入できるクラウド会計ソフトと比較すると、走り出しまでに時間がかかる傾向があるでしょう。
クラウド会計ソフトを使う場合のメリット・デメリット

クラウド会計ソフトを使うメリット
クラウド会計ソフトを使う場合の大きなメリットの一つは、経理業務の効率化につながる点です。
多くのクラウド会計ソフトでは、クレジットカードやその他キャッシュレス決済をした場合の明細を自動で取り込むことができます。
そのため、手入力の必要がほとんどなくなるのです。
また、税理士に記帳を依頼する場合は、明細を普段から整理しておき、電話や対面でコミュニケーションをとる必要もあります。
クラウド管理なら、自社で作業が完結するので、そういった手間がなくなります。
ちなみに、「マネーフォワード」の調査によると、手作業での入力に比べて、自動化の場合は月に平均10時間の短縮になるようです。
請求書作成などの機能もついており、経理業務全般をスマート化することができます。
さらに、人工知能が搭載されており、勘定科目を提案してくれるので、経理初心者にとっても安心です。
また、クラウド上で記帳をすることにより、リアルタイムで経理状況を確認することができ便利です。
インターネット環境さえあれば、複数人で経理状況を簡単に共有し、どこにいてもデータを更新することができるので、働き方改革につながります。
力されたデータを元に自動的に経営状況・売上・経費のグラフ化を行う機能は、経営の安定化や資金繰りの管理、経費削減などに役立てることができます。
クラウド会計ソフトを使うデメリット
クラウド会計ソフトを使う場合のデメリットは、慣れるまでに時間が必要になるという点です。
経理そのものに対する最低限の知識があり、パソコン業務に抵抗がない人にとってはそれほど負担がないはずです。
しかし、経理初心者やパソコンに不慣れな年配者など、ソフトの操作に慣れるまでに時間がかかる人も中にはいるでしょう。
とはいえ、UIが非常にわかりやすく工夫されており、メールやチャット、電話などによるサポート体制も整っている場合が多いので、基本的には心配ありません。
不安がある場合は、1ヶ月間無料で試せるサービスもあるので検討してみましょう。
クラウド会計を導入する税理士も増えている
ここまで、税理士に依頼する場合と、クラウド会計ソフトを使用する場合のメリット・デメリットをそれぞれ比較してきました。
しかし、必ずしもどちらか片方を選ばなければならないわけではありません。
事業規模によっては、両方利用するという選択肢もあるのです。
実は、クラウド会計ソフトの普及に伴い、税理士事務所でもクラウド会計ソフトに対応するケースが増えています。
税理士にとっても、記帳などの事務をIT化し、コンサルタントなどの高度な業務に集中できるというメリットがあるからです。
そこで、基本的には自社でクラウド会計ソフトを活用した記帳をおこない、リアルタイムでデータを税理士と共有、必要に応じて相談する、という運用方法も視野に入れてみましょう。
税理士に全て任せてしまう場合に比べて効率が良く、経理状況を常に把握することができるので便利です。
提携の税理士を紹介してくれるサービスを行っていることからもわかるように、クラウド会計は税理士と競合関係にあるのではなく、互いに連携してより良いサービスを提供してくれているのです。
まとめ
経理を税理士に依頼する場合と、クラウド会計ソフトを使う場合のそれぞれのメリットは理解できたでしょうか。
世の中の流れはやはりペーパーレス化です。
クラウド会計ソフトをいずれ導入するのであれば、なるべく早い方が良いでしょう。
ただ、クラウド会計ソフトだけで完結するのは不安だという場合は、もちろん税理士を頼ることも選択肢に入れましょう。
既に述べたとおり、税理士のあいだでもクラウド会計は普及してきており、将来的には事業者も税理士もソフトを利用するのが当たり前になるかもしれません。
両者の良いところをうまく生かしつつ、経理業務の効率化を図っていきましょう。
コメント